5人に1人の子供に、ひといちばい繊細で、敏感な子がいるといわれます。
感受性が強く、ささいな事にも敏感に反応してしまい、
「ちょっとしたことでもすぐに泣いてしまう」
「大勢の人が集まる場所で、落ち着きがなくなる」
「他人の感情や雰囲気に刺激を受けやすい」と感じることはありませんか?
私も、HSCの娘(年長)をもつ親のひとりです。
園や学校など、集団生活の中でどうしても疲れやすくなってしまうHSC。
日常生活において「うちの子は、ほかの子供より敏感だな」と感じることが多くあれば、お子さまは「HSC」かもしれません。
今回は、日常生活でありがちなHSCの特徴を紹介します。
日常生活でありがちなHSCの特徴
①すぐに驚いてしまう
例えば、
- 人から急に声をかけられたり、大きな音がすると驚いて泣いてしまう
- 遊園地のお化け屋敷やジェットコースターなどの絶叫マシンを嫌がる
- 誕生日などのサプライズ演出が苦手
- 一人きりの場所を嫌がる
- 人見知りが激しい
- 初めて行く場所に抵抗がある
こういった事はないでしょうか。
HSCは、すぐに驚いてしまうため、ドキドキ、ハラハラするスリルが苦手なのです。
緊張してしまいやすい
私の娘は、急に声をかけると、「もう、ビックリさせないでよ!」と怒ったり、私が「内緒にしてるから楽しみにしててね。」と言っても、どうにかして知りたがります。家の中であっても、トイレや洗面所、寝室などへは一人で行けず、部屋で一人きりにされると、怖くなり、すぐに誰かの姿を探しに来ます。
初めての体験に対しても慎重で、抵抗感があるので、初めての体験の前に、詳しく話をしたり、動画や写真を見せて、ドキドキをワクワクに変えるようにしています。
事前に驚かない準備をすることで、心の準備ができますね。
②肌触りの悪いものを嫌がる
例えば、
- チクチクするような素材の服は着たがらない
- くつ下の縫い目を嫌がる
- 肌に触れる襟元や腰のタグが気になってしまう
- 靴の履き心地が悪いと履きたがらない
- 服が濡れたり砂で汚れるとすぐに着替えたがる
- ベタベタする食べ物は手で食べない
こういった事はないでしょうか。
HSCは、五感の刺激に敏感なため、肌触りの悪いものが苦手なのです。
不快な感覚を嫌がる
私の娘は、ジャストサイズの靴やズボンを、嫌がるので、ワンサイズ大きめの服や靴を選んでいます。また、直接肌に触れる下着は、コットン100%のものを選んでいます。
夏は、クーラーの寒さに、冬は寒がりなのに、ジャンパーやコートなどの上着を着たがらないため、ブランケットやストールを持ち歩いています。
手がべたついたり汚れてしまうジャムパンやブドウなどの食べ物は、あまり食べたがらないので、ジャムが手に付かないように工夫したり、ブドウの皮をむいてスプーンで食べられるようにしています。
③人の気持ちをよく察する
例えば、
- 好き嫌いに順位をつけたがらない
- 目上の人に対して、慎重な言葉選びをする
- パパやママの感情を察する
- 人を喜ばそうとする
- 他人の苦しみによく気がつく
こういった事はないでしょうか。
HSCは、洞察力が優れているため、人の気持ちをよく察します。そのため、親や先生、友達の顔色をうかがい、気を使いすぎてしまうことがあるのです。
気を使いすぎてしまう
私の娘は、不機嫌そうにしていたり、悲しそうにしている人に、変な顔や面白いことを言って笑わそうとします。言い争いをしていると、仲裁に入ってきます。「誰が1番好き?」という質問には必ず、みんな好きと言います。
誰かが嫌な気持ちにならないように、気を使ってしまうため、娘の前では、夫婦喧嘩をしないように注意しています。とはいえ、ついついヒートアップしてしまうこともあり、反省することもありますが、その時は、娘とハグをして、「パパとママが、ケンカしてごめんね。でも、ちゃんと仲直りして、仲良しになったから大丈夫だよ。」と、きちんと伝えるようにしています。人の笑顔を見ると、娘も一緒になって笑っています。
また、悪いことをしたときに、ついつい叱ったり怒鳴ったりしちゃうこともあるのですが、間違っていることを諭す方が、理解します。「~しなさい」と言うよりも、「助かる」「ありがとう」「嬉しい」「さすが」などのポジティブな言葉がけをすることで、娘のやる気がアップするのが分かります。
④痛みにとても敏感
例えば、
- 予防接種などの注射をひといちばい怖がる
- 人が痛い思いをしていると、自分のことのように感じる
- 大雨や地震により、家が崩壊した映像や、緊急地震速報の音に恐怖を感じる
- 暴力的なニュースやドラマが苦手
こういった事はないでしょうか。
HSCは、他人の行動を見たときに自分の脳内で同じ行動を再現する神経細胞である「ミラー・ニューロン」の働きが強いため、自分のことのように感じてしまう共感力が高いのです。
苦手な番組は極力避けるようにし、知識の引き出しを増やす
私の娘は、予防接種に行く前から泣いて行きたくないと抵抗するので、予防接種を受けることで、どうなるかを説明するようにしています。
戦争や事件のニュースは、キーワードを耳から聞くだけでも、「このTVは嫌って言ってるでしょ。」とすぐに気付くので、ニュース番組はあまり見せないように注意していますが、「熱中症にならないためにどうすればよいか」「万が一、車内に閉じ込められた時の対処方法」「知らない人に声をかけられた場合の対策」など、自分の身を守るための行動は、具体的に話をしています。
地震や大雨による災害も同様に、身近で起こると、命に関わることなので「地震が来たらどうする?」「火事が起きたらどうする?」といった防災の知識を教え、もしもの事態になった時に、自ら考えて行動できるように、身を守るための知識を増やしてあげるようにしています。
⑤見られていると本領を発揮できない
例えば、
- 知らない人がいると、緊張して、普段はできていることが出来なくなる
- 競争が苦手
- 発表会や参観日では、実力を発揮できない
- 家でワガママ、外ではいい子の内弁慶
- 癇癪(かんしゃく)をおこす
こういった事はないでしょうか。
HSCは、完璧主義なところがあるのです。
失敗を恐れてしまう
私の娘は、園の運動会のリレーで1番になったため、地域の合同運動会のリレーの選抜選手に選ばれましたが、練習で本領を発揮せず、合同運動会当日のリレーの選手からは、外されました。参観日も、いつも悪ふざけをしているので、普段からこうなのかと思っていると、先生から「いつもはちゃんとしているんですよ。」と言われます。リレーで結果を出せるか不安になったり、親や先生にどう思われるか気になってしまうのでしょう。失敗を恐れてしまいやすいため、順位や点数などの結果に対して褒めるのではなく、頑張っている姿勢や日々努力していることを褒めるように気をつけています。
かんしゃくをおこしてしまう
また、園から帰宅した瞬間から、ワガママ言いたい、やりたい放題になることがよくあります。時には、つい「うるさい!」「やめて~!」と叫んでしまい、娘のかんしゃくのスイッチを押してしまうこともあります。HSCにとって園生活は、大勢の人が集まる場所で刺激が多く疲れやすくなる環境です。また完璧主義でもあるため、頑張っていたのでしょう。親の私まで、つい取り乱してしまうと、ミラー・ニューロンの働きにより、子供の不安がさらに増してしまいます。かんしゃくを起したときは、一旦その場から離れ、心を落ち着かせてから「おいで~」と抱きしめます。それでも落ち着かない場合は、ただ側にいて、子供が落ち着くのを根気よく待ちます。そうすることで、子供の自制心を育むことにもつながります。
子供に対して、無意識に完璧を求めてしまっていませんか?
子供の声に耳を傾け、子供と一緒になって解決方法を考えてみてください。子供に寄り添い、共感していくことで、なんでも話せる関係を築き上げていくことができますね。
HSCを正しく理解しよう
HSCは病気なの?
HSCは、その子の生まれ持った気質であり、精神疾患や発達障がいなどの病気や病名ではありません。
また、性格や生まれ育った境遇、現在置かれた環境などでHSCになることもありません。
子供の生まれもった敏感すぎる気質を理解できず、また周囲にも理解されず、親子ともに苦しんだり、周りに合わせようと無理をしすぎたりする人が多くいます。
HSCは幸せにも敏感
HSCは、ネガティブな刺激にばかり繊細に反応するわけでなく、誰かを笑顔にするだけで幸せを感じたり、虫や植物の成長に喜びを感じたり、ささいなことで「いいこと思いついた!」とひらめいたりするなど、感受性が強く小さなことにも幸せも感じやすいのです。
HSCには休息が大切
HSCは、ひといちばい刺激に対して敏感に反応してしまい、刺激を受けやすく疲れやすいのも特徴です。
人の気持ちを察しやすいため、自分が疲れを感じていても、相手に合わせてしまいやすく、眠くても眠そうにしなかったり、疲れていても疲れたと言わなかったりして、最終的に体調を崩してしまうことも多くあります。
そのため、まだ自分で体調管理ができない子には、親が睡眠時間や、リラックスタイムなどの健康管理をしてあげ、しっかりと休息させてあげることが大切になります。
まとめ
HSCの子育てには、「育てにくい」「難しい」などと感じてしまうこともあるかもしれません。
ですが、あなたの育て方のせいでも、本人がワガママなわけでもありません。
HSCが生まれもつ気質であり、ひといちばい刺激に敏感で、繊細に物事を感じるその子の個性なのです。
どうか、あなたの子育てに自信をもってください。
子育ては、HSCであるないに関わらず、初めてのことばかりで「うまくいかない自分」を責めてしまいがちです。
あまり神経質にならず、お子さまの素敵な個性を尊重し、あたたかく見守ってあげてくださいね。